寅さん!

『寅次郎夕焼け小焼け』は何故?シリーズ最高傑作!なのか

タイトル  寅次郎夕焼け小焼け / 1976年の夏物語 。

この作品はシリーズを離れても充分に通用する最高傑作!🎬

『男はつらいよ』を見たことがないという人でも、間違いなく十分楽しむことができ、

1本の映画として極めて完成度が高い。

あっと驚く意外性のあるストーリーは出色の出来栄えで、作品には珍しく悪役が登場するが、『戦わずして勝つ』が、ラストに深い感動をもたらす。

今回のマドンナ/龍野の芸者ぼたん~太地喜和子 当時33歳~

所帯持とうな・・・

リリーと同じく寅さんとの相性も抜群だが、それ以上に気っぷ、物言い、性格などが 寅さんとそっくりなお似合いのふたり。

シリーズNO1の完成度!

観客をあっと驚かせる意外性のあるストーリー。寅さんは先の展開が読める安心感が逆に魅力であり、ネタバレを用心する必要がそもそもないのが特徴。しかし、本作はシリーズ初のネタバレ注意作品といってもよく、予備知識の少ない方がより作品を楽しめるだろう。

 

この悪を直接的に打ち負かすことはないのだが、ただ敵をこらしめるよりもっと豊かな勝利を登場人物たちは手にすることができる。

本作は寅さんとマドンナぼたん、寅さんと静観、
この二つの関係を軸に物語が進んでいく

「静観先生の歓迎会」が・・

『寅さんの宴会芸』と化す🤣

これが本当の..芋の煮っころがし。〇

 

 

二人の間には恋愛感情がほとんどないため、寅さんが失恋して旅に出るといういつものお約束に着地することがない。それゆえに、本作のドラマティックな結末に通じる伏線を張ることができたともいえる。

宿屋じゃなかったのかあ・・

ドラマの結末に大きく関与するのが、名優・宇野重吉が演じる老人=池ノ内青観だ。ボロを着た青観の正体が明らかになるプロセスは出色の出来だ。

寅さんが連れてきた無銭飲食の横柄な老人だと思っているとらやの面々が、自然に滲みがでる静観の威厳に気圧されて振り回されてしまうのも愉快で、これは『落語的な語り口』と言える。

龍野で再会した二人。静観は役人に気乗りしない市内の案内をされていたところ寅さんに会って大喜びする。

フーテンのテキ屋とその道の大家は、お互いの社会的地位に関係なく意気投合、
それが分け隔てなく人と接する寅さんの真骨頂だ。

寺尾聰との親子共演も話題になった。
1964年公開の『黒部の太陽』では実際に親子役で共演した。

静観には初恋の人が龍野にいた・・

 

『 後悔 』・・

このエピソードは今作品の本筋から独立してるように見えるが、この場面で表現される静観の誠実な人柄が単に日本を代表する画家というだけではないことを巧みに表現している。ラストで失意の芸者ぼたんに自分の絵を進呈することに繋がる。

実際に恋人と共にソビエトに亡命し、スパイ容疑で監獄生活をした伝説の女優に、この台詞を言わせた山田監督も凄いなあ..

 

【郷愁】を誘う龍野の夏の風景もこの作品を盛り上げている

 

 

龍野の懐かしい風景を観た時、自分が小学生だったころの夏休みを思い出して感涙!

なぜ?「夏作品」のほうが面白いのか

そういえば・・

  • リリーの「寅次郎/忘れな草、相合い傘、ハイビスカスの花」
  • 歌子の「柴又慕情、寅次郎恋やつれ」もみんな夏作品だった

 

この頃は夏と冬の年2回公演
製作条件の面で夏作品が有利だとか

夏期作品は1月から製作準備に入るのに対し
冬期は8月から12月まで
正味5ヵ月弱で作らねばならない

準備段階では脚本の練りにもろに響く
夏場は日照時間が長く撮影にも有利..

#寅次郎夕焼け小焼け 1976年

『シリーズ最高作』の呼び声も高い
感動のラストーシーン🎬。〇

ぼたんを演じた太地喜和子さんは、
今作品でキネマ旬報の助演女優賞を受賞💐

そして、この作品は1976年の『キネマ旬報』
ベスト・テンの日本映画部門で第二位にランクインされ、
シリーズ最高位の評価を受けた🏆🥈

因みに第1位は
長谷川和彦監督の『青春の殺人者』だった


ぼたんの身に起こるトラブルがきっかけで寅さんと静観は仲違いをするが、ぼたんを思う寅さんの熱い気持ちは静観の心を揺り動かし大団円のラストに向けて集束していく。

 

 

 

離れた場所にいる二人は言葉を交わすことはできないが、
その友情に余計なセリフや説明は野暮というものだろう。

任侠映画のように悪を直接的に打ち負かすことはないのだが、ただ敵をこらしめるよりもっと豊かな勝利を登場人物たちは手にして爽やかな後味を残す。

人とのつながり、厚い友情がもたらす、深い感動を描いた日本が誇る傑作映画のひとつだろう。


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