寅さん!

山田監督に新しい志穂美悦子を引き出して貰った

私もそうですが、第8作・第18作を観てきた多くの人が志穂美悦子の美保役にとまどいを感じたのではないか。

坂東鶴八郎一座の看板女優・大空小百合(岡本茉利)のその後という設定。だけど、あの幼い丸顔と志穂美の精悍な顔がどうしても結びつかない。

しかし、何度か観ると美保を演じた志穂美悦子の好演が光る作品になった。

志穂美悦子が起用された理由・・山田洋次監督

空手の悦ちゃん と呼ばれ、男勝りのアクションを売りものにしてきた志穂美の、女らしく成長した姿に目をみはったのは、TBSテレビ『親子ゲーム』を見た時だった。「激しい芝居をしているのにパーソナリティーが穏やかで、どこか安心して見ていられる」と脚本も出来ていない段階で志穂美と相手役長渕の起用を決めた。それを聞いた志穂美は出演を快諾した。

常々、日本人の喜怒哀楽を表現出来るのは山田監督しかいない。チャンスがあったらぜひ出演したいと思っていた。

 

【裏話】実は大空小百合ではなくテキヤの親分の娘という設定だった

昔世話になったテキヤの親分が亡くなったことを聞いた寅さんが、健吾という青年と共に筑豊の炭住を訪れ、親分の娘・美保を東京に連れ帰る。そして、いい婿を探してやろうとしたら、一緒について来た健吾に横取りされるという筋立てだった。

 

この作品の脚本は 何度も練り直された

例えば、最初の筋書きは、籍も入れずにケンカばかりしているラーメン屋のカップルが寅さんの仲立ちで結ばれる話。志穂美は「長渕さんとのかみ合わせで『親子ゲーム』流にポンポンやれると思っていた」ところが脚本は二転三転、最終的に本編となる。

美保は脚本が変わるたびに、気恥ずかしくなるくらいけなげな女性になってるんです。ああ、やっぱり日本人の2人にひとりは見る国民映画なんだなあ。新人類的キャラクターでは日本人全部に愛されにくいのかなあ。そう思った。

歴史ある映画に名を刻めて女優冥利につきます。

『寅次郎ハイビスカスの花』などのビデオを買って勉強し、撮影に臨んだが・・

「監督にあれもダメ、これもダメと言われ、しかも言われたことは今までしたことのない芝居でしょ。消化できてない部分もあったりして、一時は ”私、あきらめたから、長渕クンがんばって” と本気で言ったことも・・」

大役をやり通した志穂美は完成披露試写会で自分たちの演技を見て、

「山田監督の、人の心のヒダに触れるような演出のおかげで、私には想像もできないマドンナになっていました。新しい志穂美悦子をみるようで、記念すべき作品になったと思います」

長渕剛と志穂美悦子は本作の翌年に結婚するが、撮影当時からすでに交際中であったらしい。

これが最後の映画出演となった。



『 動画配信サービスとDVD・ブルーレイとの比較 』

動画配信サービスは月額費用がかかるが・・

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一方、DVD・ブルーレイは・・

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