黒澤明監督のこの名言を知ったとき、「天使のように大胆に、悪魔のように細心に」という順序で覚えてしまった。というのも、カシアス・クレイ(後のモハメド・アリ)の自身のボクシングスタイルを表した名言「蝶のように舞い、蜂のように刺す」と混同してしまったのか、当時はそのほうが自分のなかでは通りが良かったような気がしていた(笑)
しかし、数々の名作を生み出してきた黒澤作品を何度も観ていくと、その作品の細部まで時代考証を徹底的に調べ上げ、制作現場では綿密な準備を進める。一方で誰もやらない型破りなことをダイナミックに映像化していく。まさに「悪魔のように細心に、天使のように大胆に!」
羅生門 ベネチア
国際映画祭グランプリ
米アカデミー外国映画賞
羅生門『オープンセット』1950年
・設計 松山崇氏(美術)
・場所 大映京都撮影所の広場600坪
・建設期間 25日
・柱 周囲4尺(約1.2メートル)18本
・屋根瓦の枚数 4,000枚
「延歴17年」の年号が彫り込んである pic.twitter.com/4E9dUi8KSl— しなふく📡「昭和」エンタメなニュース発信局 (@sinafukudoa) February 26, 2024
その門は、日ごとに、私の頭の中で大きくなっていった。ー黒澤明ー
私は京都や奈良の古いいろいろな門を毎日見て歩いていたが、そのうちに羅生門の大きさが最初に描いていたものよりも、次第に大きなものになっていたのである。
この映画を大映に持ち込むときにセットはオープンセットはひとつ、あとはロケーションだけ、と云ったので、大映は予算面で助かるとばかりに喜んでその企画を受け入れた。
後で川口松太郎氏(当時・大映の重役)が「黒さんには一杯喰わされたよ、あんな大きなおオープンセットを建てる位ならセットを百位建てたほうがよかったよ。」と愚痴をこぼしたとか。
赤ひげ ベネチア
国際映画祭 金獅子賞
ゴールデングローブ賞
#黒澤伝説『雪の日の出会い』🎬
わずか20秒のために、
この大オープンセットが組まれた屋根の雪は塩。
撮影中雨が降ってきたら
この塩が溶けるんでハラハラしたとか
ー赤ひげ 1965年ー pic.twitter.com/dKfxhifaVP— しなふく📡「昭和」エンタメなニュース発信局 (@sinafukudoa) November 18, 2024
ベートーヴェンの第九「歓喜の合唱」。最後にこの音色が出なかったらこの作品はだめなんだ。ー黒澤明ー
オープンセットに雪を降らせるわけだから並大抵じゃない。屋根から屋根へワイヤーを渡し、六尺はあるブリキ製の底が金網になっている箱に麩とカポックの粉を幾つも吊るして、これをあちこちに動かせるようにして上から降らせた。
七人の侍 ベネチア
国際映画賞 銀獅子賞
#黒澤伝説 『七人の侍』1954年
最初、夏に撮影される予定だった
クライマックスの合戦シーンは
年を越して二月の厳寒の時期に行われた
大雪を溶かしてホースで水をかけながら撮影。黒澤明監督も、この過酷な撮影のため、
足の爪が全部死んだとか.. pic.twitter.com/MNXq6DIPvk— しなふく📡「昭和」エンタメなニュース発信局 (@sinafukudoa) January 5, 2024
日本映画は要するにお茶漬けサラサラでしょう。もっとたっぷりご馳走を食べさせて、お客にこれで堪能したと言わせるような写真を作ろう。ー黒澤明ー
雨中の激戦は、2週間かけて積雪を溶かしながらの撮影だったため、ひどくぬかるんでいた。三船敏郎は慶応病院に撮影後、一週間入院した。
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