昭和世代の映画雑学

【黒澤明伝説】あの名言を実証する細心さと大胆さを紐解く

「悪魔のように細心に、天使のように大胆に」

黒澤明監督の名言である。数々の名作を生み出してきた黒澤作品を何度も観ていくと、その作品の細部まで時代考証を徹底的に調べ上げ、制作現場では綿密な準備を進める。一方で誰もやらない型破りなことをダイナミックに映像化していく。
「その名言を裏付けするエピソードを紐解いてみた。」

羅生門 ベネチア
国際映画祭グランプリ
米アカデミー外国映画賞

その門は、日ごとに、私の頭の中で大きくなっていった。ー黒澤明ー
私は京都や奈良の古いいろいろな門を毎日見て歩いていたが、そのうちに羅生門の大きさが最初に描いていたものよりも、次第に大きなものになっていたのである。

この映画を大映に持ち込むときにセットはオープンセットはひとつ、あとはロケーションだけ、と云ったので、大映は予算面で助かるとばかりに喜んでその企画を受け入れた。
後で川口松太郎氏(当時・大映の重役)が「黒さんには一杯喰わされたよ、あんな大きなおオープンセットを建てる位ならセットを百位建てたほうがよかったよ。」と愚痴をこぼしたとか。

赤ひげ ベネチア
国際映画祭 金獅子賞
ゴールデングローブ賞

ベートーヴェンの第九「歓喜の合唱」。最後にこの音色が出なかったらこの作品はだめなんだ。ー黒澤明ー
オープンセットに雪を降らせるわけだから並大抵じゃない。屋根から屋根へワイヤーを渡し、六尺はあるブリキ製の底が金網になっている箱に麩とカポックの粉を幾つも吊るして、これをあちこちに動かせるようにして上から降らせた。

七人の侍 ベネチア
国際映画賞 銀獅子賞

日本映画は要するにお茶漬けサラサラでしょう。もっとたっぷりご馳走を食べさせて、お客にこれで堪能したと言わせるような写真を作ろう。ー黒澤明ー
雨中の激戦は、2週間かけて積雪を溶かしながらの撮影だったため、ひどくぬかるんでいた。三船敏郎は撮影後、慶応病院に一週間入院した。

蜘蛛巣城 1957年

骨組の深いドラマとまともに取り組みたかった。それが「マクベス」です。それを日本に移し変えるのに、能の様式を思いついたんです。ー黒澤明ー

この恐怖に引きつる三船敏郎の顔は決して演技だけではない。いくら、充分な距離をとって放った本物の矢でも手元が狂って三船本人に突き刺さる可能性はゼロではない。後日、酒に酔った三船が黒澤宅の前まで行って「黒澤のバカヤロー」と叫んだという話は有名である。

乱 1985年

日仏合作映画として、当時の日本映画史上最大の製作費26億円というプロジェクトがスタート。海外の映画関係者から言わせると、それだけの予算でよくこの映画を完成出来たとの声も...。

コーヒータイム  ちょっと、ひと息 。○○ 
黒澤作品の映像美!俳優さんは大変!?
今さら私が言うまでもありませんが、黒澤明監督の作品には何であんなに画面に緊張感があるのでしょうか?

黒澤作品には様々な伝説があり詳しい方はご存知かと思いますが、その一因となるものに全ての被写体にピントを合わせた(パンフォーカス)超望遠レンズで撮影しているためです。つまり、画面に映っているすべてのものにピントがあっているということですね。当時のフィルムの感度も含めて、必然的にライティングで相当の光量を必要とします。時代劇の黒澤作品では、被っているカツラから煙が出ているというエピソードは有名な話です~◎

映画「天国と地獄」のラストシーンでも、犯人役を演じる山崎努が刑務所の面会室で金網にしがみつく場面がありますが、ライティングの熱で熱くなった金網を強く握り締めた為に傍にいた撮影スタッフから手から煙が出ていたという証言もあるそうです。

生きる 1952年

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