普遍的なテーマ『生きる』という3文字のタイトルのインパクト。
主人公が途中で死んでしまう異色の構成。
「黒澤ヒューマニズム」の作品として海外でもリピートされ、日本映画史上世界に誇れる傑作の1本である。
目次
冒頭で物語の結論を
出す入り方
発端部はいきなり胃のレントゲン写真が示され、噴門部に胃癌の兆候があるが本人はまだそれをしらない..というナレーションで始まる。
市役所の場面に変わり、市民課長の渡辺勘治の背後には書類が山積みにされていて煩雑な官僚機構を象徴している。渡辺は書類の内容を一瞥しただけで、驚くほどのスピードで印を押している。(脚本では無意味な忙しさに慣れきっている)
#これを見たやつは座っている画像をあげろ
胃がんを宣告された..
渡辺勘治役の志村喬さんこの作品中は毎日俺は癌だ..癌だと思って
演技してるんで胃の具合が良くなかった。撮影が終わってから医者に診てもらったら、
胃炎だと分かり、しばらく薬を飲んでいた。 pic.twitter.com/RR3vhRc3Ip— しなふく📡「昭和」エンタメなニュース発信局 (@sinafukudoa) July 2, 2024
実は撮影前に志村喬さんは盲腸になって手術をして随分と痩せたとか。監督はやつれた志村さんを見て、その方が癌患者らしくてそれでいこうと撮影に臨んだ。
市民課長の背後だけでなく、他の課員の前にも書類が山積みにされていてる。
何十年分の書類がないといけない。しかも新しい紙束を積んでも質感が出ないとなり、小道具係が会社の経理部に行って押し入れをかき廻したら古い帳簿がわんさか出てきて、軽トラック三台分で運んだとか。
絶望した渡辺は
歓楽街に出て放浪する

「歓楽的な夜の街」は『天国と地獄』の伊勢佐木町のシーンでも使用された東宝作りつけの銀座のオープンセット。他の作品でもいろいろと手を加えて,重宝される人気のセット(笑)
酔っ払ってネオンと車の洪水の中を傍若無人に歩き回る。車のボディにネオンが映る映像は、当時のアメリカの監督もいろいろ試したそうだけど、普通の車を街で走らせたって、ああは撮れないとか。
撮影用の丸太の足場を組んで上下左右にやたらネオンを付けて『ネオンのトンネル』を作る。その中を走らせるとああいう映像になる。『天国と地獄』 で戸倉警部(仲代達矢)と刑事たちが犯人を尾行するために車を走らせるシーンでボディにネオンが流れるスタイリッシュな映像があるけど、黒澤監督はもうこの頃からやっていたんだねえ。
#素敵な帽子画像を貼る
歓楽街の店で『命短し恋せよ乙女』を
唄う渡辺勘治。その場に居合わせた者
たちは鬼気を感じる..
ー生きる 1952年ー pic.twitter.com/wgWwo3L3SO— しなふく📡「昭和」エンタメなニュース発信局 (@sinafukudoa) October 27, 2024
志村喬は一世一代のこの役の為にダイエットし、声を嗄らし、まばたきしない目玉だけが異様に大きく光っている。
渡辺勘治の再生

#生きる 志村喬の話
生の意義を聞き出そうとする勘治。
女の子がなんかすればいい
というようなことを言うんですがここで僕は「もう遅い」と一言
この台詞を黒澤さんは
一週間考えてたというんですよこりゃあねぇ
あだやおろそかに言えないなと
僕は思ったんですがね pic.twitter.com/cSVif6k7Q5— しなふく📡「昭和」エンタメなニュース発信局 (@sinafukudoa) August 4, 2023

小田切みき(小田切とよ)という役名だった。
ピチピチした少女のイメージ作りに
パーマをかけさせられ、
髪も目の色に合わせて染められた・・
黒澤監督からは、
「芝居をするな」「綺麗だなんて思うなよ」
当時俳優座養成所の一年生。養成所の一、二年生の外部出演は厳禁だったが「黒澤作品なら」ということで、特別にOKが出た。
絶賛された、
ハッピーバースデーの合唱
階段で交差する誕生祝い

渡辺勘治 / 誕生の瞬間
私にも何か出来る・・
階段をかけ降りる
すれ違いに若い女性が(青山京子)
ハッピーバースデーの合唱に
迎えられてかけ上がる
見事な黒澤流「対位法」


ハッピーバースデーを合唱する女学生達は東宝のニューフェイースの何期生かで、入所したばかりだったからみんな張り切って何度も稽古をしていたとか。
いきなり通夜の場面になる
大胆な構成
行動を決意した主人公が、その5ヵ月に死んだというナレーションが流れ、祭壇に飾られた「渡辺勘治」の遺影。
新聞記者が渡辺宅の玄関にやって来て、公園を作ったのは市民課長の功績だと助役に詰め寄る場面から50分、市民課の人間が回想シーンを交えて喋り出す。生前の渡辺勘治の描写で明らかになっていく真実。
ここからパンフォーカスを駆使した通夜の席の映像は、画面奥までの被写体がはっきりと映し出されるタテの構図が見ものになっている。
#誰でも知ってる映画トリビア
生きる 1952年黒澤作品ではお馴染みの
パンフォーカスの撮影🎥
ライトの熱が半端ない❗酒の膳のマグロが腐って変色し
セット中が臭くなった
小道具さんがコンニャクを赤く染めて
マグロに見立てて撮影したとか.. pic.twitter.com/oicOTi0oJN— しなふく📡「昭和」エンタメなニュース発信局 (@sinafukudoa) May 8, 2025
左 ト全だけが美味しいと言って食べていたとか(笑)
また葬儀の道具は本業の「葬儀屋」から借りたとか。
公園でブランコに乗っている渡辺
#これを見たやつは座っている画像をあげろ
あの「ゴンドラの唄」を
どういう風に歌うということなんですが
黒澤さんの注文は「この世のものとも
思えない歌い方をしてくれ」と(笑)そんなことを言われてもわかりませんよ
実際にはね(志村喬) pic.twitter.com/zO22G5mSng— しなふく📡「昭和」エンタメなニュース発信局 (@sinafukudoa) June 24, 2024


雪の中で死んでゆく渡辺勘治。降りかける雪は塩、積もっている雪は石灰だとか。
最後に・・
二時間二十分あまりの時間があっという間に過ぎたのは巧みな構成の脚本によると思う。
若い頃はテーマも暗そうで敬遠していたけど、やっぱり齢を重ねるごとに味わい深い感動が呼び起こされる。
まだまだ名シーンの撮影秘話はあるけど、また次回ということで。
『東宝名画座』
14日間無料体験の案内
すでにプライム会員の方はもちろん、Amazonプライム30日間無料体験中でも申し込みが可能です。
登録・解約も簡単!
『生きる』をはじめ数々の黒澤作品、
サラリーマン・若大将シリーズなど
東宝の名作映画が大集合!
解約しない場合は、体験終了後 月額390円
アカウントをお持ちの方は
こちらからどうぞ ⬇️⬇️⬇️
Amazonプライム
30日間無料体験
詳しくはこちらからどうぞ ⬇️⬇️⬇️
おすすめ記事