📖「アリア(Aria)」とはイタリア語で、オペラなどで歌われる叙情的な独唱曲のこと。
〈第15作 寅次郎相合傘〉リリー夢舞台
シリーズの中でも特に人気の作品で、「放浪の歌姫」リリーに贈った「寅さんのアリア」史上最長のセリフ🎬
リリーを仕事先のキャバレーへ送って、
とらやに戻った寅さんは、茶の間のみんなに、
そのキャバレーがいかにしょぼくれた場末の店だったかを悲しそうに伝える。
そして、大きなため息をついて・・
「俺にお金があったら大劇場を借り切って、好きなだけ歌を歌わせて、リリーの夢をかなえてやるのになあ・・」
「そんなことが出来たら、リリーさん喜ぶだろうね」とさくらが応じると・・
寅さんがぱっと目をを輝かせながら語りだす。
「ベルが鳴る。場内がスーッと暗くなるなあ。『皆様、たいへん長らくお待たせをばいたしました。ただ今より、歌姫・リリー松岡ショーの開幕であります』、静かに緞帳が上がる。スポットライトがパーッと当たってね。そこへ、真っ白けなドレスを着たリリーがスッと立っている。(中略)やがて歌が終わる。花束! テープ! 紙吹雪! ワァーッと割れるような拍手喝采だよ。あいつはきっと泣くな。あの大きな眼に涙がいっぱい溜まってさ。いくら気の強いあいつだってきっと泣くよ」
2分31秒「寅のアリア」史上最長のセリフ。撮影後のラッシュフィルムを観たリリー役の浅丘ルリ子さんが、その場で涙を流したという。
このシーンを語る上でこれ以上の賛辞はない..
倍賞千恵子さんは、自著の中でこう述べている..「渥美さんの張りのある声と緩急自在の抑揚に身ぶり手ぶりが加わって、
もうステージに立って喝采を浴びるリリーさんの華やかな姿が目に浮かぶようでした。
聞いている私も、お芝居をしながら思わず熱いものがこみ上げてきました」